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精神生理研究部の最新の研究紹介

 
(プレスリリース)皮膚細胞を用いて体内時計を測る手法を開発 (>>詳細を見る

In vitro circadian period is associated with circadian/sleep preference.
(和訳:末梢時計リズム周期はクロノタイプや睡眠習慣と関連する)
Hida A, Kitamura S, Ohsawa Y, Enomoto M, Katayose Y, Motomura Y, Moriguchi Y, Nozaki K, Watanabe M, Aritake S, Higuchi S, Kato M, Kamei Y, Yamazaki S, Goto Y, Ikeda M, Mishima K.
Sci Rep. 2013;3:2074. doi: 10.1038/srep02074.

採取した少量の皮膚細胞(線維芽細胞)を培養し、発光遺伝子を用いて細胞内の時計遺伝子の発現リズム(末梢時計リズム)を可視化することで短期間に体内時計の周期を測定することが可能になりました。さらに、体内時計の周期がクロノタイプ(朝型夜型)や休日の睡眠習慣(体質にあった睡眠時間帯)と相関することを明らかにしました。
体内時計の周期には大きな個人差があり、その長短は、寝起きのタイミング(眠くなる時刻、自然に目覚める時刻、朝型夜型)の決定に大きく関与します。また周期の異常(極端な長短)によって概日リズム睡眠障害(睡眠・覚醒リズム障害、睡眠時間帯が異常になる)が発症することも明らかになっています。すなわち、体内時計の周期を簡便に測定することができれば、睡眠医療における診断精度が飛躍的に向上することが期待されます。
しかし、ヒトの体内時計の周期を正確に測定するには、特殊な施設、数週間におよぶ検査期間、負担の大きい持続24時間採血などが必要であり、実地臨床に応用することは困難でした。本研究で確立した方法を用いれば、生体試料(皮膚小切片)を一回採取するのみで済み、従来の方法と比べて検査を受ける方の負担がきわめて少なく、簡便に体内時計の周期を測定することができます。
今回の成果を活用することで、睡眠・覚醒リズム障害や冬季うつ病など体内時計の障害に起因する疾患の診断精度が向上するほか、夜型体質による覚醒困難、夜勤に伴う体調不良など個人の体内時計と求められている社会時間とのミスマッチから生じる社会的時差ぼけを判定し、個人の体質にマッチした合理的な睡眠プログラムの提供につながることが期待されます。
本研究成果は、文部科学省脳科学研究戦略推進プログラムの一環として行われ、2013年6月25日に英国科学誌「Scientific Reports」に発表されました。(>>詳細を見る


精神生理研究部の研究活動

研究概要

  • 睡眠・覚醒、生体リズムの制御メカニズムを明らかにするため、精神生理学、分子生理学、神経内分泌学、画像診断学などの多彩な手法を用いて学際的研究を進めています。
  • 睡眠・生体リズム障害が精神機能(認知、記憶、感情、意欲等)や身体機能(内分泌、代謝、食欲、循環機能等)に及ぼす影響を明らかにすることをめざしています。
  • 小児から高齢者に至るまでの各ライフステージにおける睡眠障害の病因を明らかにするための基盤研究を進めています。
  • 睡眠障害の新たな診断法および治療法の開発、新薬治験、医療機器の開発を進めています。
  • 厚生労働省と協力して、日本国内における睡眠障害の罹患率、既存薬の副作用の実態、医療ニーズなど睡眠医療の向上を目的とした調査研究を行っています。
  • センター病院と連携して、睡眠障害の高精度診断、薬物療法、認知行動療法など質の高い睡眠医療を提供しています。

各年代・性別における睡眠問題について研究しています

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お知らせ

2018年03月22日

【Web】三島和夫:ベンゾ長期処方が大幅減額、その対策は?. 日経メディカル.

2018年03月20日

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