20120808

「催眠鎮静系抗ヒスタミン薬を睡眠薬代わりに服用するのは慎重であるべきだ」


Yasuko Katayose, Sayaka Aritake, Shingo Kitamura, Minori Enomoto, Akiko Hida, Kiyohisa Takahashi and Kazuo Mishima. "Carryover effect on next-day sleepiness and psychomotor performance of nighttime administered antihistaminic drugs: a randomized controlled trial." Human Psychopharmacology. vol. 27, issue4, 428-436, doi: 10.1002/hup.2244. July,2012.


<概 要>中枢移行性が高く催眠鎮静作用の強い抗ヒスタミン薬であるジフェンヒドラミンは処方箋なしに薬局で購入できる(OTC)睡眠薬として広く販売されている。しかし催眠鎮静系抗ヒスタミン薬を睡眠薬として服用するリスクに関する情報はごく少ない。本研究では健常男性22名(平均年齢22.2 ± 3.8歳) を対象として、催眠鎮静系抗ヒスタミン薬であるジフェンヒドラミン (50mg)、ケトチフェン(1mg)、ゾルピデム(睡眠薬、10mg)、およびプラセボを就寝前に服用した翌日中の眠気と精神運動機能を評価する無作為二重盲検プラセボ対照交叉比較試験を実施した。その結果、抗ヒスタミンを服用した翌日に、強い鎮静感、脳波上の残遺眠気、ワーキングメモリー機能の低下が認められた。抗ヒスタミン薬の持ち越し効果は午後には軽減したが、血中濃度が十分に低くなっている時間帯にも持続していた。本研究の結果は、不眠症に対して催眠鎮静作用の強い抗ヒスタミン薬を安易に用いることのリスクを示唆している。

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